【院長コラム】令和3年度を振り返って
令和3年度、新型コロナウイルスの変異株が日本全国に広がりました。1年延期して開催された東京五輪後に、当院は第5波(デルタ株)のクラスターに見舞われました。また、山口県にまん延防止等重点措置が適用された第6波(オミクロン株)でもクラスターが発生しました。クラスターはいずれも概ね3週間程度で収束しましたが、患者さんだけではなく、対応する職員にも身体的・精神的な負担がかかりました。今後も新型コロナウイルス感染症の流行が懸念されており、専従看護師を中心として感染防止対策に取り組んでいきます。
そのような状況で業務の効率化をこれまで以上に図る必要があり、その一環として事務部門では給与明細を電子化するなどシステム整備を進めました。さらに、コロナ補助金を用いてタブレット端末(ipad)を購入し各部署に配布しました。それにより、会議はオンラインに移行し、チャットアプリ(LINE WORKS)を利用して情報伝達をスムーズに行えるようにしました。オンライン会議やチャットアプリによるやりとりは、この1年で院内にほぼ定着したように思います。
下関病院では、クラスター対応の経験を活かし、令和4年1月よりコロナ病棟(2床)を立ち上げました。全国的にもコロナに罹患した精神疾患患者の受け入れが課題となる中で、当院にコロナ病棟を設置することは地域基幹病院としての使命だと考えています。ただ、コロナ病棟に患者を受け入れる際には、看護配置の見直しが必要となり、既存の病棟にも負担がかかるため、運用の効率化や看護職員の確保を進めていきたいと考えています。
本年度の年報データでは、コロナ禍の影響で、入院述べ患者数や病床利用率は低下しましたが、急性期病棟への入院患者数は過去最高になりました。データにはありませんが、急性期病棟では徐々に入院期間は短縮し、回転率があがってきています。一方で65才以上の高齢者が57.7%と半数を超えており、在院患者の高齢化が問題です。そのため、慢性期病棟における長期在院患者の退院促進を行なっています。
クリニックでは、これもコロナ禍の影響で初診の患者数は減少しましたが、スタッフの尽力により他の項目については例年と変わらない形で推移しています。訪問看護ステーションは、病院の急性期入退院患者の増加と慢性期患者の退院促進によりその需要が順調に伸びていくことが予測されます。その需要に応え、今後はステーションの24時間化を目指していきます。
コロナ禍の非日常で平常時には気づかず見過ごしていた部分にスポットが当たり、結果的に病院の改革につながりました。コロナ禍はもうしばらく続くと思われますが、この難局を機会に変え、新しい下関病院へと成長していけるように取り組んでいきたいと思います。