【院長コラム】山口県精神科病院協会報(第300号)寄稿文
山口県精神科病院協会報(第300号)に水木院長が寄稿しましたので、文面を掲載いたします。
アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」が米国で迅速承認を取得し、続いて欧州・日本において承認申請がなされました。脳内に蓄積されたアミロイドβ(Aβ)を取り除くレカネマブは、治験においてプラセボに比べて認知機能の低下を27%抑制したと報告されています。検査費用も含め年200万円を超す治療費がかかるとされていますが、これまで対症療法しかなかったアルツハイマー病の治療薬として期待されています。早ければ年内にも国内で承認されるかもしれません。ただ、対象はMCIもしくは軽度認知症であり、その判別が難しそうです。また、Aβの蓄積をPETもしくは髄液検査で確認する必要があり、設備を整えた医療機関は限られます。さらに、脳浮腫や脳出血などの副作用も懸念されています。以上を踏まえると、総合病院との連携がなければ単科精神科病院での対応は難しそうです。当面は、米国での使用状況を確認しながら、国内での承認経過を注視していく必要がありそうです。